酒のうまい土地

はあ。酒がうまい。うまいですなあ。ハッハッハ。

信州亀齢というお酒です。ほのかにいい香りがして、さらっとして、そして甘露であり、旨い水でもある。良いです。

どうしたのかというと、新幹線で長野県は上田に行って買ってきました。とはいえ酒を買うために行ったわけではない。しかれどもそのつもりが全く無かったとも言い切れない。

▲信州亀齢、岡崎酒造

上田は城下町であり、城跡がある。あと、水が良いらしく、街なかに湧き水がある。水が良いせいか(という理由付けは実はあまり好きでないのだけれど)お酒は旨いし、駅前の喫茶店はおいしいブレンドが420円で飲める。その次に入った喫茶店はチーズケーキがおいしいし、昼食後に入ったワインの店では地元のシードルがうまい。駅前のブルワリーで飲んだビールも良いです。つまり飲むことに関してこの街はなんだかとても良い感じです。

柳町、上田

ひととおり飲んで満足してから古墳を見に行きました。このあたりは古代には信濃国国分寺が置かれたような中心的な土地でありながら、それ以前の古墳時代にはあまり目立った古墳がないです。それゆえ小さな古墳を見て回ることになる。

事前の知識として確認しておくと、古墳の平面形は、方墳〔四角形〕→円墳〔円形〕→前方後方墳〔四角形+四角形〕→前方後円墳〔四角形+円形〕の順にランクが高くなるとされていて、サイズも大きいほどランクが高いということになっている(1)。日本最大の古墳が全長500m超であることを念頭に置くと大きさもイメージできます。

上田の有力な古墳を年代順に見ると、地域で最初の古墳が4世紀から5世紀の大蔵京古墳(長辺35mの方墳)、次も方墳の中曽根親王塚、そして帆立貝形(前方後円墳のなりぞこないみたいなやつ)で全長50mの王子塚古墳が造られ、ようやく6世紀になって前方後円墳の二子塚古墳ですが全長は49mとあまり大きくない。形の変遷から「グレードを上げて」いったとされるけれど(2)(3)、それとて小さい部類です。その後はまた円墳に戻り、塚原穴1号墳、他田塚古墳、皇子塚古墳などと続く。

▲大蔵京古墳。わかりにくいけど真ん中の盛り上がりが墳丘。

▲王子塚古墳。真ん中やや左下の部分が墳丘。

▲二子塚古墳。削れてしまって形はよくわからない。

▲二子塚古墳のオブジェ

▲塚原穴1号墳

▲他田塚古墳。塚原穴1号墳とともに「いにしえの丘古代公園」の中にある。

▲皇子塚古墳

まあ、そんな感じで古墳はさほど大きくはないですが、それでありながら史跡として整備もされていて見栄えは良いです。酒のうまい上田の礎を築いた古墳時代人の皆様に思いを馳せつつ、別所温泉に浸かって一日を終える。

 

〔参考文献〕
(1)都出比呂志(2011)『古代国家はいつ成立したか』岩波新書 ほか
(2)小林秀夫(2006)「千曲川流域における古墳の動向―5世紀代の古墳を中心として―」『「シナノ」の王墓の考古学』雄山閣
(3)上田市誌編さん委員会(編)(2000)『上田市誌 歴史編(2) 上田の弥生・古墳時代上田市