今回は房総半島の真ん中あたり、小櫃川中流域の前方後円墳です。というわけでJR久留里線の小櫃駅で下車。この小櫃駅や隣の俵田駅の近くには白山神社古墳、浅間神社古墳、飯籠塚古墳という三つの前方後円墳があります。今回行くのはそのうち駅から徒歩でアクセスしやすい白山神社古墳。
久留里線は1両のディーゼルカーがときどきやってくるだけのローカル線で周囲も相応に田舎だけれども、山の中というわけではなく、小櫃川流域の平野は開けていて田んぼが多い。現代でも流域の木更津市や君津市の田んぼの面積は千葉県内で上位に入っていて(1)、古墳時代にもきっと稲作が盛んだったのだろうなあという感じがします。三古墳が平野の奥の中流域にあることについては、水源の掌握が理由ではないかという(2)。
駅から10分少々で白山神社に到着。入口にある古墳の説明板によるとかなりきれいな前方後円形が残っているようです。
実際に神社の裏山に行ってみると残りの良い前方後円墳がありました。林にはなっているけれど下草は刈られていて見通しはほどほどに良好です。くびれがはっきりしている前期型の古墳。墳丘のまわりは平坦になっていて古墳の形が際立っているし、平野に突き出した丘の上にあるのできっと築造当時は遠くからでも見栄えがしたでしょうね。いい設計の古墳です。
ところでこの古墳の主が掌握しただろうという水源地、それが久留里線でもう一駅進んだところにある久留里です。街のあちこちに井戸があって水が湧き出しています。
水があれば酒があり、駅前の酒ミュージアムで市内の酒を試飲できます。とりあえず駅近くの3軒の酒蔵のお酒を飲んだんですが、それぞれ個性が違いますね。同じ土地の水を使っているのに面白いものです。
〔参考資料・文献〕
(1)「作物統計調査 令和4年産市町村別データ」(農林水産省)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040022213(2024年3月31日閲覧)