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イビツなヤツら

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郡山にある大安場古墳に行ってきた。この古墳の特徴は前方後方墳ということで、これが全国的にはそれほど多くはないタイプなので有り体に言えばレア度が高い。

ところで、前方後方墳とはナンゾやと言うと、真上から見ると四角形ふたつを組み合わせた形をしてる古墳である。古墳界のファッションリーダーであるところの関西では円形+四角形=前方後円墳が圧倒的メジャーなのに、東海や東北にはポツポツと四角形+四角形=前方後方墳があって、中央政権に対する反抗精神を墓の形に込めたとかいう話である。でも単にひねくれ者の王様が作ったのかもしれないし、何も考えずに適当にそれっぽく仕上げただけかもしれない。ちょっとした形の好みとか。

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大安場古墳が普通じゃないのはもうひとつあって、古墳の軸線がぐにゃっと曲がってることである。つまり前方部と後方部の角度がぴったりと合っていない。この古墳は元々あった山を削り出して整形して造られているのだが、その元々の地山がちょっとグニャッとしてたのでそのまま古墳もグニャッとしてしまったらしい。超いい加減である。実はこれまでに見たことのある古墳で同じようなのが他にもあって、長野県の森将軍塚古墳というのは細い尾根の先っちょを無理に削って造ったのでやっぱり同じようにグニャッとしている。森将軍塚古墳のほうは前方後円墳なのだが、後円部を造るのに十分な幅が無かったせいで綺麗な円形を造ることすら放棄してたりする。もっといい加減である。

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(グニャッとしている模式図。1枚目の写真でも軸がずれてるのが分かる)

じゃあこの墓を造った王様や家来衆は超いい加減なピープルだったのかというとそうでもなくて(という勝手な想像だけど)形よりも優先すべき理由があったにちがいない。というのも、大安場も森将軍塚も、下の平野よりも結構高い位置にあるので登ると眺めがすごく良い。どちらも平野の向こうに雪山が見えるのが共通で、墳丘上から遠くを見た時に同じ感じがしたので驚いちゃった。きっとオジサンたち、この尾根の上に立って、「たいへん良い眺めなのでワシの墓はここに作ろう」って思ったのである。
ところが部下は慌てて反対する。「こんな場所に造ったら整形するのめっちゃ大変っすよ、やめましょう」
でも王様は諦めない。「形はそれっぽくデカいの作っとけばいいじゃん、とにかくここで」
というわけでグニャッとした古墳ができちゃった(かどうかは知らんけど)。
でもまあ結果としてちゃんと眺めのいい場所に墓ができて、後世まで残って、いまだに「デカい」「高い」って人を驚かせてるので王様もご満悦であろう。

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(大安場古墳から西側の眺め。空気が澄んでいれば山並みが見えるらしい) 

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 (森将軍塚古墳からの眺め。きっと日本一眺めのいい古墳

 

さて古墳サイドビューのパノラマです。今回の大安場古墳では「前方後方墳と前方後円墳は真横から見たら同じに見えるのではないか?」という疑惑を調べてみた。
だが残念ながら1枚目の時点でもはや明らかに円ではないっぽいことが分かる。2枚目、右斜め前45度くらいなら前方後円墳ですって言われてもあんまりわからないかも。要は「エラ」の部分が目立たないように撮れば差がわからなくなるってことである。3枚目、パノラマではないけど前方部の前部分から眺めるとエラが強調されてピラミッドが並んでるみたいな人工的景観がカッコいい。こうなると明らかに違いが分かる。

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(1.ほぼ真横から)

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(2.斜め後ろから)

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(3.ダブルピラミッド構造)
なので、古墳の上に登ることなんて滅多になかったであろう古墳時代ピープルもちゃんと形の違いを認識していただろうし、形は結構重要な要素になりえたと思うのだ。