コロちゃん

新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出て、外出自粛になり、10日ほどが経ちました、今。なんか適当に旅に出て古墳を眺めたりしたいのだがそういうわけにもいかず、暇つぶしに本をいっぱい読もうと思って、使わなかった旅費をハードカバーにも躊躇なく注ぎ込む。買った。

 感染拡大防止に貢献しようと思うのだけどマスクが軒並み売り切れなので、効果がどの程度あるかは不明ながら外出時はフェルトで自作したマスクを毎日着けています。そうすると帰宅したときに次亜塩素酸ナトリウム水でマスクを洗うというルーチンがいつの間にか身についていた。口の周りにマスクがある感覚とか、かすかな塩素臭とか、消毒のためには次亜を使おうという考え、あるいはマスクが乾いたかどうか気になる、屋内で人と接近したくなくなる、超手洗いしたくて洗うけど手が荒れてきてハンドクリームを塗る。感染拡大防止のためには行動変容が必要だと言われているけれども、必要と言われている範囲の外でもじわじわと感覚が変わっていっている気がする。

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ストーンヘンジの東側にある墳丘。奥の林にも墳丘群っぽいのがある。

そして感覚が変わるとアウトプットも変わる。仕事中に考えていること、次のプレゼンはどんなのを提案してみようとか、は少し変わった。いまの仕事は小さいのでそういう変化が世の中に与える影響はほとんど無いのだけど、世界中の人にちょっとずつ変化が起きているとすると、この騒動が終わった後に出てくる新しい商品やサービスはかなり変容するかもしれない。あるいは変わらないかもしれない。変わらなかったらこんなことを考えているのは少し恥ずかしいけど評価は今はわからない。

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ストーンヘンジの北側に見える墳丘群。

人間の行動が変わり、アウトプットが変わり、今までとは違う物が社会に広く出回るようになると、きっと人間は今までとは変わった社会に対して適応して思考を変化させる。曰く、

ヒトは、(中略)さまざまな人工物(衣服、道具など)を介して環境と関わり、人工的な環境(住居、集落、都市など)を構築する。そしてそこでの生活に適応し、さまざまな決まりごとによって成り立つ社会的関係の中で新しい世界を作り出し、そこで生きていくことによって新しい行動や思考が生まれる。作り出された世界と、そこで育まれた人間行動、規範、社会組織とが、一体となって次の世代に継承される。
――松本直子「人間行動とモニュメント」前掲書

つまり古墳とかのモニュメントが造られたのは何らかの環境や考え方の変化があってのことだろうけれども、造った人間自身、社会すら、自分たちが造ったものから影響を受けて変わってしまう(と理解しました)。日本の古墳時代は古墳造りに超謎な正のフィードバックが働いて全国で熱狂的古墳築造に突き進んでいったのですが、現在のマスクフィーバーはどう変化してゆくのかしら。

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▲ソールズベリーへ戻るバスの車内から見えた墳丘。羊が群がっている。

感染拡大の話とは関係ないけど、前掲書にはイギリスの墳丘墓も紹介されていて大変ワクワクしたので、昨年イギリスのストーンヘンジに行ったときに撮った墳丘墓の写真を並べておきました。ぱっと見は日本の群集墳に似てる。事態が収束したらまたどこか遠くのデカい墓を見に行きたい。