それでもガラパゴス

f:id:hamajiu:20180312190436j:plain

日本海をのぞむ崖の上の古墳群。日本海からの風雨で削られていまはもう土盛がなくなっているけれども石室の材は残ってます。ここ好きなんですよね。年に一度は来てる。何かというと、地の果て、この先にはユーラシア大陸古墳時代にあっては先進文明をもたらす源泉、があった。近代のはじめに坂本龍馬が太平洋を見てアメリカに憧れたみたいに、古代にもここでなんか叫んだ若いのがいたかもしれない、という想像もありではないか。今は若者の少ない過疎地だけれどもね。日本海の交易が盛んだった頃は、冬が終われば貿易船がやって来たかもしれない。夢があったんですね。そういう夢のようなことを考えていると、冬の潮まじりの北風が吹きつけるような日に行っても(この写真を撮ったのがそういう日だった)なかなか意味ありげな風景に見えますね、などと思うのです。

ところで物の本によると、偉い人のためにデカい墓を造る文化は日本に限った話ではなくて、どこでもあります、ピラミッドとか。中国にもあるし朝鮮半島にもある。それが日本海の北風みたいに日本に打ち寄せてきて、島国のことだから勝手に解釈して魔改造して変な形にしたりやたらデカくしたりした。そうやってガラパゴス化したのである。というようなのが歴博の企画展

(企画展示|展示のご案内|国立歴史民俗博物館:~2018.5.6)

の解説にもあり、なるほどその通りだなあと思ったのです。古墳は国内の視点だけで見ると「世界に並ぶレベルのデカさ」とか「全国に十万基以上もあってスゴい」となるけれども、世界全体を見たときにはそれはどっちかというと「変」なのである。なんでこいつらそんなことに熱狂してるのか……。ただ、この辺境感、田舎者がやらかした感、というのはおかしみがあってそれはそれで良い気がします。オタク文化もそうですか。あるいは田舎の何もない駅前でウンコ座りしてる高校生、なんとなく可愛げがあるでしょ。そんな感じ。

歴博の展示といえば、北アメリカのマウンドが紹介されていました。いつか誰かにアメリカに古墳なんてネーヨと偉そうに言ってしまったことがあった気がするのですが大変すみませんでした。一応言い訳ですが、必ずしも墓ではないらしいので古墳ではないのです。あと、造った人のことをマウンドビルダーって言うらしいですよ。よく訓練されたガチムチオッサン集団がマッチョに土を盛ってそうな、アメリカ感あって良いですね。これ日本もコフンビルダーって呼んでみたら、ホームページビルダーみたいな庶民的な感じになります。そういうわけでまたアメリカに行きたい。

→ミシシッピ文化 - Wikipedia