築け!ゼンポーコーエンフン

終わってしまった……。

週に一回、仕事が終わった後の家に帰るまでが楽しかったのは久しぶりだった。第1期が終わった後に原作全部買って読んだし劇場版も見に行ったしサントラも買ったし今も聴いている。サントラといえば第2期は「だったん人」が劇中で最初に流れたときに良い選曲だなあと思ったものですが、単なるBGMじゃなくてその後の物語に影響してくるんですね、オーボエが。あとはみじょれたそ……ンフッ、いや、ンフフ、この話はやめにしておこう。ウフフ。

第1期の山場はいわゆる神回である第8話でしたが、あれも数ある青春アニメの中でこれほどキラッキラに美しく演出したものがあっただろうかと思います。「特別になりたい」もそうですけど、みんな強いのが良いんです。普通のアニメならここでデレるってところでデレなくてちゃんと踏みとどまる。だいたい、ふつうはみんなそうです、すっ転んで「エヘヘ」って笑って終わるような人ほとんどいないもんね。そして全員が全国大会を目指しているのにもかかわらず、完全に同じ方向を向いてはいなくて、一致団結しているのに個人が見えてくる。同じ年に放送してた真田丸を「登場人物がそれぞれの考えでバラバラに好き勝手な方向に動くのが面白い」というようなこと言ってた人がいたけれども、それと同じで、登場人物がおのおの考えて行きたい道を進む。その上で一致団結するのでその瞬間にサーッとカタルシスがあふれてきて感動しちゃうわけです。良かった。

そういうわけで、というわけでもないが、宇治へ行きまして、

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宇治橋の上。アニメの中ではこのシーンが出てくる度に水面がキラキラに夜景を反射して幻想的に描かれて、またあるときは橋の上で「上手くなりたい」と青春を叫ぶ。そしてまた、

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朝霧橋から見た大吉山。この山の上にある展望台で例の神回は繰り広げられたのである。ちなみにこの山の左奥に連なる小山には古墳があるらしい。

そうそう、古墳といえば、黄檗駅木幡駅の間くらいにある竹藪、と思わせておいて前方後円墳

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二子塚古墳です。後円部がほとんど削られてしまって前方部しか残っていなくてそれすら竹藪に覆われているので何が何だか分からないけれども、築造当時の姿に戻せば100メートル超級のデカい古墳。京阪の線路沿いにあるのでもしや劇中で車窓に映ったりしてるかもしれないけれども、放送が終わって録画もしていない今となっては確認できない。

そしてさらに、宇治から電車で30分ほど進んでおまけに徒歩30分、もはや宇治ですらないのだが、ここにかの有名な椿井大塚山古墳があるのです。行きたかったのはここです。

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▲まずは、後円部から

何がすごいのかは、そう、ブラウザの上にある検索窓に椿井大塚山古墳と入力してEnter押していただければよいのですが、端的に申しますと、

  • 全国に古墳が造られ始めた頃の初号機に近い形式
  • 全長175メートルのデカい前方後円墳
  • 大量の銅鏡が出てきた

という全国で一番偉い級の人のお墓兼記念碑であるにもかかわらず、

  • 古墳の上が住宅地になっている

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▲わかりにくいけど画面左端の山が後円部、真ん中から右が前方部。

のであり、おまけに、

  • ど真ん中をJRの線路がぶち抜いている。

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▲手前が後円部、奥の家が前方部。線路は後円部を切り通しで抜ける。  

前記の二子塚古墳もそうだが、ことによると王族級の、超高価な鏡を36枚も自分の墓の中に持っていってしまうくらい超偉くて金持ちの墓をいともたやすくぶっ壊してしまう近代文明のヤバさというか、実はすでに奈良時代の時点で同じレベルの古墳を半分消滅させていたりするので我らはそもそもそういうテキトーな民族なのかもしれない。とすると完全に一部残っているだけでもマシであろうか。

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▲線路ブチ抜き図。上の写真と見比べてみよう。

ただひとつ間違いないのは、全国を眺めてみても、毎日これほど多くの人が墳丘内を通過していく古墳は無いということです。全国でも稀有な「古墳の中を通過する感覚」を味わえます。