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富山と福井:二つの円墳

古墳に行くというのは二通りあって、古墳見学メインで出かけるときもあれば他の用事のついでに行くこともある。ついでのときは周辺に古墳がないか当たりをつけておくこともあるし、適当に散歩してたら偶然見つけてしまったりもする。どっちにしても、古墳のある場所というのは観光地でない場合が多くて、地元の人の生活圏からも微妙にずれていたりして、観光客とも地元人とも違う経路をあちこち横断して歩くのでいろんな風景が見られてたいへんワクワクする散歩になります。
今回はそうして用事のついででたどり着いた二つの古墳。

地鉄寺田駅の駅員さんがたいへん親切な方で、乗り換え待ちが1時間以上もあるということを教えてくれた上に、駅前の道を右に行ってくださいと、近くのコンビニまでの道筋も教えてくれた。地方に行くとこうしてときどきたいへん親切な人に出会うので嬉しいのだけど、このときは近くに古墳があることを知っていたので、厚意に反するのを心苦しく思いながら駅前の道を左に曲がった。
富山の風景は独特で(というのはどこの県に行っても思ってる気がするし事実そうなんだけど)平野の真ん中に立つと必ず立山を背負ってる。それから、平野がそのまんま日本海に開いているので青空が広がるような時期は清々しいし冬は寒々しい。同じ日本海側でも若狭湾から山陰にかけてとはちょっと違う、ような気がする。

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徒歩15分くらいで田んぼの中の線路の向こうにいかにも古墳っぽい盛り上がりが見えてくる。止まれ見よの先にある古墳。近頃探している鉄道-古墳風景である。

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この古墳は周濠の跡が田んぼの形に残されていて、ちょうど稲刈りの直前の時期だったので手前の休耕田との色の違いでよく分かる。墳丘もちゃんと円形で残っているし、表面には葺石がコロコロ転がってます。富山県で葺石がある古墳はこの稚児塚古墳だけなんだそうで。そういえば富山県ってスゲエデカイ級の古墳が無いですよね。稚児塚古墳の主は説明看板にあるとおり「かなり有力な一族」であるのか、それとも中央になびいたイケ好かない大和かぶれだったのか。個人的には地方の首長は中央に頭を下げつつも野望を抱くイカしたオジさんであってほしい。しかし現代でもそうであるように、地方の偉い人というのはおおむね普通のオジさんなのであろうとも思う。

敦賀で暇だったので、駅前でナイスなチャリを借りて神社や港や砂浜を爆走していたのだが、それでも時間が余ったので気になっていた西福寺という寺に行ってみた。理由は単に古い寺だからということなんですけど、行ってみたら予想外にいいんです。静かな田舎の寺という感じで、寺というのは何よりも静かで穏やかなのが良い。本堂に座ったり、庭の隅で座ったりしたときに静かなのが良い。特に西福寺の庭は音が良いんです。庭に下りて水の流れる音を聞いてるだけでもいいけれど、庭を歩きまわってもいいということで歩いてみたら、場所ごとに音が移り変わっていく。京都の寺の有名な庭で同じような音の変化に驚いたことがあるけれど、それが敦賀の静かな古寺にもあるというのはまた違った趣でなお穏やかで良い。庭の良し悪しを言えるような知識は無いけど、良いと思った事実はある、ということです。

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▲西福寺の庭
ところで古墳はと言うと、寺に向かう道の途中にありました。神社があるのかと思って看板を見たら古墳と書いてある。階段を登ったら綺麗な墳丘があって石室もちゃんと開いている(開いているのがちゃんとと言えるのかどうかは知らない)。まったく予定外でもこんなふうに古墳を見つけてしまうこともあるんだなあ。

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どこにでもある量産型の古墳ではなくて、石室の奥に石棚があるのが珍しいらしい。お地蔵さんが祀られてて下からは支えが入っているので後付けの棚のように見えるけど、棚板は壁に埋め込まれてるので作り付けだ。お供え物を置く棚とはオシャレなものだなと思ったが、石室の石積みを補強するためのものだとか、棺を覆うためのものだという説も有力のようで(というか色んな用途があるのか?)古墳時代人の感性はやはり我らとは違うっぽい。