古墳から北アルプスが見える

 関東平野にあまりにも山が無さすぎてつらいので年に一度は山のあるところへ行く。富士山の麓とか長野県とか。またあるいは東北に行ったり西の方へ行ったりもする。というか関東平野以外なら大抵どこでも山が見える。
 ところで、どこでも山があるとは言うけれど、どこも同じ風景かというとそんなこともなくって、例えば瀬戸内に行ったら「瀬戸内だなあ」と思うし、九州に行ったら「九州っぽいなあ」と思うような風景があるわけです。それで、松本盆地に行ったらそこはやはり「これが松本である」という風景がある。何かというと、雪を被った北アルプスが壁みたいにデデンとそびえている。
 そして松本盆地にある古墳は当然ながら背景に北アルプスを背負っている。

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 針塚古墳。石を積んで造った積石塚というスタイル。北アルプスがバックにあるので晴れているとたいへん眺めがよろしいです。

 そういえば以前、柳井茶臼山古墳の記事で「山陽っぽい」って書いたのも似たようなことだなあ。古墳って眺めのいい場所に造られてるケースが多いので周囲の風景が結構見た目の印象に影響を与えているのだ。古墳自体は円か方か前方後円か前方後方か、という感じで形が規格化されているとしても、風景の中ではちゃんとご当地感がある。それはいにしえの人々も目で見て感じたはずなので、大和のほうから信濃にやってきた旅人は、アルプスを背負った古墳を見て「信濃だなあ」と思ったのかもしれぬ。

 

 続いて同じくアルプスが見える古墳、弘法山古墳。築造は3世紀後半ということなので1700年前です。古墳の中でも特に古い。前方後方墳です。盆地とその向こうの北アルプスを一望できる絶好のポジション。このへんで王様やってる人ならぜひともこんな場所に自分の墓を作ろうと思うものである。

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横長になりすぎたのでクリックで少し拡大できるようにしました。後方部から前方部を望む。周辺の木は桜であるらしく、春になるとお花見スポットなんだと。12月は花も葉もない。古墳の斜面にひっつき虫が密生しててズボンの足首がハリネズミになった。

 

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弘法山古墳に至る尾根の道。桜が満開になったらさぞ綺麗だろうなあ。新海誠のアニメに出てきそう。