青塚古墳に行くつもりで青塚古墳に着いた

栄からバスに揺られて三十分。手に持ったスマホgoogleマップでは目的地にはまだ遠い。にも関わらず早くも到着アナウンス。おかしい。これは明らかにおかしい。こんな場所ではないはずなのに。次のバス停までの距離が異様に長いとか? というのは希望的観測で、不安が徐々に募って涼しいバスの中なのに汗がタラタラ流れる。バスが停まった左手には木に覆われた小山。見た瞬間にわかった。いくつも古墳を見てきたんだからこの小山が古墳だってことくらい分かる。ああ、しまった、これは。きっとこれも青塚古墳なのだ。私の目指していた青塚古墳ではないけれど青塚古墳なのだ。見知らぬ土地にひとり、人通りもなく蝉の声だけの夏。炎天下に帰りのバスは2時間後。ヤバい。

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名古屋のわりと近くに青塚古墳というキレイに整備された前方後円墳があります。衛星写真でみるとバッチリ鍵穴型ですね、前方部には壇がある。Twitterとかでたまに写真が紹介されてるのを見たりしてたいへん整って美しい印象だったので次に名古屋に行ったらついでに青塚古墳も見てこようとかねがね思ってた。

 そんなふうに行きたいなあと思っていたら、盆休みの旅行の途中で名古屋を通過する日程が組めたので青塚古墳に行くことにした。しかし調べてみると交通不便である。造られた当初は幹線道路とか村とかからよく見える場所だったはずだけど、今は駅から遠い。最寄りの名鉄小牧線楽田駅から徒歩30分、歩けないことはないというか普段なら喜んで散歩する距離なのだが真夏のど真ん中の8月ではとても歩く気にはならぬ。それで、バスの程良いのがないかと調べてみたら、犬山市コミュニティバスがまさに楽田駅から青塚古墳を結んでいるけれども、月火金曜日しか走っていないので休日は使えないです。

さてどうしたものか。と思ってそんなときこそGoogleの出番である。「青塚古墳 バス」とかで検索したら出てくるじゃないですか。豊山町コミュニティバス。しかも栄から出てて超便利。もうこれしかない、すごい大発見だ。

自分の大発見を賞賛しつつバスに乗った。そしたら違った。

 

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それで、冒頭に戻ります。
この古墳を造った偉い人も、自分の墓が後世に勝手に付けられた名前のせいで他人の墓と間違われるとは思わなかっただろうなあ。犬山市豊山町。わりと近い場所にあるふたつの町に、青塚古墳という同名の古墳がある。ということを、バス降りたその場でGoogle先生に訊ねて知った。

一応墳丘に登ってみて、円墳かな、方墳かな、などと考えていたが、しかしすっかり「やっちまった感」にやられてしまったのでそのままトボトボと猛暑の中を歩いて帰ることに。ずっと徒歩を覚悟していたけど幸いにも近くにバス停があった。
同じように間違える人がいるかもしれないので帰りのバス停情報を。迷える古墳マニアに届くかしら。
古墳のちょっと東にある県道161号線を南に歩いて行くと、セブンのある交差点の先にバス停があります。徒歩10分くらい。栄まで乗り換えなしで帰れます。すぐ近くにコメダもあるので休憩もバッチリですね。

それから、せっかく訪れたのに何も調べないのはもったいないので、名古屋の図書館で資料を探してみた。「豊山町史」に2ページくらい載ってたので抜書きします。

  • 見た目は円墳っぽいけどたぶん前方後円墳である。
  • 削られた前方部を加えると結構デカい。
  • 現在の富士神社はわりと新しくて、以前は物部八所神社と言った。
  • なので古墳の主は物部氏の一族ではないか。
  • 古墳の中心軸は物部氏の故郷である大和を向いている。

最後ふたつはあやふやで、そもそも古墳と神社ってあんま関係ないのではとか、古墳の向きって他の理由があるんじゃないかとか思ったりもします。

ともあれ間違えなければ一生行かなかったであろう古墳、これも何かの縁ですね。