あるときTwitterのタイムラインをぼんやり見てたらこんなニュースが流れてきた。
静岡・辻畑古墳は東日本最古級 土器などの分析で判明 - 47NEWS(よんななニュース)
古墳時代の最初期に造られた古くてデカい古墳が沼津にあるらしい。というと別にどうってことはないような感じもするけど、卑弥呼とかと張り合えるレベルのエラい人が沼津にいたということで、今でこそ普通の地方都市だけど、沼津すごいなあと思ったのです。それでちょっと様子を見に行ってみた。
いにしえのピープルは山に対して信仰心を持っていたのではないかという話があります。デカ古墳が立ち並ぶ奈良県の東側なんかそうですね、三輪山の神様を崇めていたらしい。でもその理屈で行けば日本一の富士山の周辺なんかメッカみたいになって巡礼でごった返して大騒ぎになっていたにちがいないのに、案外そういう遺跡がない。富士山埴輪を作って売ってた土産物屋の跡とか見つかったら面白いけど無い。不思議なことです。
あとそれに関連するのだけれど、沼津って富士山の手前にちょうど愛鷹山が重なって、肝心の富士山が見えないんですね。もうちょい西の富士市に入ればすごく綺麗に見えるんだけど。なので富士山を崇めるためにここに古墳を造るってちょっと違う感じがするし、沼津に古くてデカい古墳があるって聞いたとき、なんで沼津なんだろうって思ったのだ。
沼津駅からバスに乗って10分くらい。江原公園バス停で降りて歩道橋を渡った先に古墳があります。その歩道橋の上に立って愛鷹山を見ると、なんか予想とは違う風景だった。
愛鷹山の上に富士山の頂上が乗っている。
沼津って富士山が見えないわけじゃなかったのだ。知らなかった。この風景ならちょっと崇めてみようって思うかも。あるいは信仰ではなくても、いい眺めだから村を作ろうとか古墳を造ろうとかは思ってもおかしくない。水も綺麗だし。なんで沼津、の答えはそう難しくなかったのだ。
歩道橋を下りて五十メートルほどで古墳があります。道路が二股にわかれた部分にあって、道路工事の途中で見つかったということで、ハゲ山になっております。
前方部から後方部を見ると、軸線上ではないけれど富士山on愛鷹山が見えます。(写真左上・木に隠れてるけど)建物の無かった時代なら結構視覚効果が大きかった可能性はある。
後方部周囲には周濠っぽい窪みがある。
西側は道路によって結構抉られている。
ニュースでも触れられているのだけど、道路工事の最中に見つかった古墳なので、今後どうするかが問題になっているようです。小さい古墳なら発掘して記録を作ってから潰しちゃうってのもよくあるのだが、この古墳は結構デカい上に箸墓古墳なみに古くって、そう簡単に潰すわけにもいかない。歴史的価値ってのもあるし観光資源になるかもしれない。あと、もったいない。お墓潰すのもヤだし。でも道は通さないとみんな困る。
二股にわかれた道路、どうやら地元の抜け道になっているらしく、細いわりに交通量が多いです。なんか地図を見ると道路が開通すると沼津市街地から東名高速方面へつながって便利になるっぽい? 交通量多くて危ないらしく、この日は二股のところに警察官が立って見張ってた。写真の奥が古墳。
古墳のすぐ北側まで広い道路が大方完成した状態で待ってます。あとは古墳の百メートルほどの区間さえどうにかなれば……というところ。これ見ると、やっかいな場所にあります、古墳。困ったことに周囲は住宅地で、迂回路の用地は無い。さあどうするか。以下は沼津駅前で海鮮丼を食いながら考えてたあれこれ。海鮮丼はウマかったです。
中央分離帯に構造物があると興奮する系統のマニアにとってはたいへんワクワクします。
- 古墳アンダーザブリッジ方式
赤面山古墳と同じ方式で上を陸橋でまたいでしまう。古墳の王様からは富士山が見えねえって怒られそう。
- 道路インザコフン方式
古墳のガワだけ残して内部をトンネルにする、見た目さえ残ればいいという暴挙。だけど古墳の内部に現代的構造物があると興奮する系統のマニアにとってはたいへんワクワクします。類似例ってわけでもないけど埼玉の将軍塚古墳なんか内部がコンクリで刳り抜かれててめっちゃワクワクしました。
- 移築
世の中にはわざわざ移築した古墳というのもあるそうな。考古学的な価値は無くなっちゃうので潰すのとあまり変わらない気はするけど、何しろお墓なので単に潰すよりは移築したほうが怒られない。ついでに往時の姿に復元して賑々しく飾り立てればいいんじゃない。
そういえば古墳の近くの国道沿いに白湯麺屋さんがあって、食べようと思ってたのに忘れてた。