古墳のパノラマ写真。上手くいったような、ダメだったような、モヤモヤした感じだ。もうちょっと工夫したら変わるかも?
なぜ古墳のパノラマ写真をやってみようと思ったかというと、何か色々あったんだけども、スタートは本です。
前方後円墳の形について、前方部と後円部とその間のくびれ部の高さに注目した考察がたいへんおもしろくて、(それがこの業界の通説なのかどうかは知らないけど)古墳の見方がちょっと変わったのです。以下引用しながら紹介します。
まず古墳の変遷について、年代に沿って並べるとこうなるという。
箸墓:最初期の古墳。後円部からスロープが下りて、前方部へと上がる。
西殿塚:箸墓よりちょい後。前方部が上がらない。代わりに壇がのる。
柳本行燈山:四世紀初頭。後方部は壇すら無くなって平ら。
渋谷向山:さらにちょい後。後円部から下りるスロープが無くなってまっ平ら。
五社神(神功陵):四世紀中頃。スロープ復活。ただしあんまり下りない。
仲津山:五世紀初め。これ以降の基本形。スロープが高い位置になる。
この変遷を勝手に模式図にしてみた。たぶんこれで合ってると思うけど違うかも。違ったらごめんなさい。
それで、こういう事実を踏まえた上で、箸墓については
高くさし上げた主の遺骸のありかと、それを背にして周囲を睥睨する前方部端とを往来するスロープ通路をショーアップする
そして、よくわからんうちにスロープ無くしちゃったけど、スロープ復活以降については、
その形の本質は、箸墓で考えだされたスロープ通路を天空高く浮上させていくことだった。この「天空のスロープ」こそ、機内の大形の前方後円墳の主が超自然的存在にまつり上げられていくときの、もっとも中心的なコンセプトだったと推測できる
ということで、このスロープの形状が前方後円墳の形を考えるときにとても重要なのではないかということですね。
そういうのを読んではいたんだけど、当初は全然気にしてなかった。が、あるときなんとなく撮った写真を見てて思いついた。
もしやサイドビューってめっちゃそれっぽい。
そのとき頭の中に浮かんだことがいくつかあって、箇条書きにすると。
- スロープが重要だとすると真横から見るのが一番わかり易い。
- 古墳時代のピープルもみんな上からじゃなくて横から見てたんだからこれが一番普通な鑑賞方法かも。
- 上から見た平面の四角とか丸の違いって古墳を作った目的とはあんま関係ないかも。横から見たら前方後方も前方後円も同じだ。(これについては上の本でも書かれていて、平面形は政治的意図よりも「地域独自のアイデンティティや伝統」とのことです)
それで、さっそく大阪の古市まで行ってサイドビューを撮ってみたのだが、古墳てデカい上に遠くから撮れない(大阪の古墳は近くに住宅地とかがある)ので、写真一枚には全く収まらないのである。困った。
そこに登場するのがパノラマというわけです。フィルムカメラの時代にあった上下を狭めただけのなんちゃってパノラマと違って複数枚合成したやつ。かなり綺麗に繋がるっぽいしかっこいい。これやってみたい。というわけで、こんどは宮城県に行ったついでに雷神山古墳でパノラマやってみた。ただし、一眼と三脚持って行けない用事だったのでスマホ&タブレットで撮影してカメラアプリの合成機能使いました。あとストリートビューみたいな360度回せるphotosphereってのが近未来的でカッコ良い機能だったのでそれもやってみた。
まずこのページの一番上に載っけたやつがvivo tab note8とwindows8のカメラアプリで撮ったやつ。この組み合わせだとホワイトバランスがやけにブルーに寄るので困る。解像度も低い。(設定しだいでどうにかなるかも?)
それから、HTC J Oneとgoogleカメラ。これはかなり解像度高いしつなぎ合わせるのもうまい。HDR的に露出を補正してくれるので見栄えもする。ただ、構えた時に水平になってなかったらしく、肝心の古墳がぐんにゃりしてしまった。
さらにphotosphere。これは前方部に立って360度ビューにしてみた。前方部で祭祀が行われたのだとするとここからのビューは意味ありそうだなあって思って、上れる古墳ではいつもここに立ってみるんだけど、今のところ特に発見はない。
(リンクはここから)
photosphereから平面の写真を作ることもできてこれもまたよろしい。
感想としては、思ったほど「ウオオオッ」ていうのは無かったけども、もうちょっといろいろやってみたい。せめて、きちんと水平出して三脚にのせて一眼で撮りたい。古墳のphotosphereはgoogle mapを見たら既にやってる人がいるみたいで、これからもっと増えたら面白いなあと思ってます。